was tun wenn's brennt? gregor schnitzler監督

直訳すれば「燃えたらどうする?」ですが
邦題は「レボリューション6」です。
なんですか、これは。どういうつもりですか?
釈然としないものがありますが、
内容は、邦題が示すとおり、6人の元ヒッピー
が、14年ぶりに爆発した不発弾の
証拠を消し去るため結集し、警察を相手に
大立ち回りを演じる、というものです。


ベルリンクロイツベルク区は、旧西ベルリンでも
壁に接していた地域だったこともあり、
社会にあぶれた若者たちがアパート等を占拠して
勝手にコミュニティを作ったりして暮らしているところ
でした。これが80年代後半に大弾圧を受け
機動隊との衝突などを経たのち沈静化、
現在はふつうの下町といったところでしょうか。
ちなみにわたしも98年初頭に初めてベルリンに
長期滞在した際に、この地区のアパートに暮らしていました。
ちょうど当時日本で住んでいた東京の学生街の雰囲気に
近い気がして、とても気に入っていました。


さて、映画の話に戻りますが、
これもまた、「グッバイ・レーニン」と同様、
歴史を取り戻すことを目指した映画だといえるでしょう。
11年間仲間に裏切られたまま、放蕩生活を続ける
ティムとホッテ。ホッテは機動隊の放水車にひかれて
両足を失いますが、ティムの介護と障害者である特権により、
相変わらず家賃を払わずぼろアパートに暮らしています。
彼らが14年前に仕掛けた爆弾が偶然爆発したことから、
ティムは警察に追われることになりますが、
かつての仲間たちとともに、警察に握られた証拠のフィルムを
取り戻そうとたくらみます。
ティムとホッテのもとを去ったなかまたちは、
母となり、弁護士となり、企業家として、それぞれ活躍しています。
安定した生活を求める仲間たちとティムは何度も対立しますが、
結局は、それぞれの能力を活かしてフィルムを取り戻し、
警察の追っ手を逃れ、フィルムを「燃やす」ことに成功します。


彼らは、14年かかって、警察の暴力という負の記憶や
ホッテの両足とともに失われた
仲間との絆を取り戻すことができたのでしょう。
たしかに、過去の傷をそっくりそのままふさぐことは不可能ですが、
少なくとも物語としては、そのように受け取っていいのではないでしょうか。
「グッバイレーニン」や「ゾンネンアレー」が
旧東側からベルリンの傷を描き出したのに対し、
「燃えたらどうする?」では、西側から
同様に忘れられようとしている記憶を掘り起こすことに
成功しているといえるでしょう。
こういう映画はやはり作られるべきであり、
見られるべきなのではないでしょうか。


まあ、肩肘張らずとも、充分楽しめる映画です。
ぜひご覧ください。