パンダ

はどうやって笹を食べるのか。
これは長らく動物解剖学の世界における
難問の一つだったようです。


今日買った新刊本

パンダの死体はよみがえる (ちくま新書)

パンダの死体はよみがえる (ちくま新書)


よれば、パンダの手には通常のクマのように、
真直ぐ前に伸びた五本の指のほかに、
人間で言えば親指にあたる部分に
もう一つ小さな偽指があります。
従来の説では、この指でもって
笹をつかむことができるとされていたのですが、
この本の著者遠藤教授は、上野動物園
ホアンホアンの死体解剖をとおして、
じつはこの偽指は不動の骨であり
もう一つ、手首辺りにある骨を
第七の指として使うことで、
人間の手のように笹をつかむことができる
ということを突き止めました。


パンダは見てのとおりクマの一種ですが、
進化の過程で、肉食主体のクマと
笹食のパンダに分化し、それが手の発達として
進化していったとのことです。


正直言って、パンダがどのように笹をつかむかという
ことに、大して興味はないのですが、
この本を読むことによりわたしのなかにあった
長年の疑いが晴れました。
都立上野高校出身の友人に教えてもらって以来、
わたしはパンダが、じつは笹だけでなく肉も食べているのでは
ないか、と疑っていました。


かわいらしい、日中友好、アジアの平和を体現する
パンダが、肉食では都合が悪い、という政治的な配慮により、
表向きは笹食ということにしておいて、動物園が閉まったあとは、
飼育係がこっそり肉を食べさせているんじゃないか。
そうでなければ、あの巨体を維持することはできまい。
そんなことをずっと考えていたのですが、
ここに来てようやくパンダは笹食なのだということを
認めることができそうです。